「樟の細道」は国家レベルの七大グリーンウェイの一つです。もともとは広大なクスノキの天然林に開かれた古道で、樟脳精錬のためクスノキを伐採する際の山道でした。Raknusはサイシャット族とタイヤル族の言葉で「樟」を意味し、Seluは客家語で「細道」です。「樟の細道」の名は先住民語と客家語をつないだもので、歷史上の民族間の衝突と現在の平和を示唆しているのです。
「樟の細道」の範囲はおおよそ台三線「内山公路」の沿線。もともとこの古道は、先住民と漢人との物々交換に使われ、また西洋の宣教師が布教に訪れ医療行為を行った際にも用いられました。閩南人と客家人の暮らしの記憶にもつながり、各エスニックグループが相互に往来した重要なルートだったのです。
客家庄に暮らす人々のかつての山林暮らしの跡を大切にしつつ探ろうと、客家委員会では2016年より古道の第一段階整備計画に着手しました。公的機関と民間団体が協力することで、2018年「樟の細道」のルートを決定し、命名。「台湾千里歩道協会」は同年、完全に手作業で修復した第一号の古道—渡南古道を完成させました。
「樟の細道」は桃園龍潭三坑を起点とし、台三線に沿って南へと伸びています。新竹、苗栗を経て、最後には台中東勢へ。主線の総延長は約 220 キロです。