高雄地域で客家文化を代表する小さな町と言えば美濃です。ここを訪れると、まるで客家の人の家を訪れたかのようで、豊かで多彩な客家スタイルに満ちています。まずは古色蒼然とした「原郷縁紙傘文化村」へ。ここは伝統的な手工芸品である油紙の傘の美しさを愛でられます。その後、永安路の古い家並みで新しい楽しみ方を体験しましょう。ここにある80年以上の歴史を誇る美濃警察派出所で写真を撮るのはマストとなっています。ここでは文学を主軸にコーヒーや軽食といった新たな楽しみ方が加わりました。本を読みながらデザートを楽しめ、古風な雰囲気に浸れます。
次に向かいにある90年以上の歴史を持つ「美濃旧橋」を訪れ、古き良き時代の素朴な風情を感じましょう。50年代の美濃の人々の共通の娯楽の思い出を振り返りたい場合は「美濃第一戲院(劇場)」へ行くことをおすすめします。外観は昔のままで完全保存され、重要な歴史文化的価値をもつ廃墟となっています。また、二階建てで、200年の歴史をもつ市定古蹟「東門樓」は客家集落では珍しい存在です。この地は美濃地域で最も歴史のある伯公(土地公)廟があり、近くには地元で信仰されている「美濃庄頭伯公」があります。永安路を離れ、最後に訪れたのは「美濃湖」です。美濃の客家の純朴な雰囲気と美しい田園風景を存分に楽しむことができます。
食に関しては地元の特色ある軽食を探してみました。今回は店舗密度が高い「粄條街」ではなく、地元客しか訪れないという「美濃阿秋肉圓粄條店」を訪れました。目立たない地味な店ですが、伝統的な客家の素朴で美味しい料理を味わえます。ただし、場所を見つけるのは簡単ではありません。次に、客家委員会の「人才留美計畫(人材をアメリカ留学させる計画)」で勉強したオーナーが開く「美濃啖糕堂」を訪れました。地元の農産物を活かした様々なパンやトーストがあり、一度食べると忘れられない美味しさです。永安路の地味な小道に入ると、美濃聖君宮そばに午後4時から営業しているおでん屋台があります。ここは40年間、変わらずに手ごろな価格で提供しており、地元住民にとっては午後のお茶にベストな場所となっています。大勢の人たちで賑わう老舗のアイス店「東門冰菓室」もあります。ここでは昔懐かしい清冰(シャーベット)を試してみましょう。美濃の人々の夏の涼を楽しむ幸せなひと時を満喫することができます。
原郷縁紙傘文化村が設立されたことにより伝統的な台湾の文化芸術である油紙傘が保存、継承、普及されました。ここは美濃のディープな芸術文化の魅力を伝える出発点となっています。園内には数多くの油紙でできた傘が展示されており、それぞれに優美なイラストが描かれています。油紙傘の制作過程も見学でき、油紙傘にイラストを描く体験もでき、訪れる人たちはみな楽しんでいます。油紙傘だけでなく、陶芸体験もできるので、非常に面白いスポットです。客家の特産品を購入したり、地元の客家擂茶を味わったりすることもでき、存分に満喫できることを保証します。
- 住所|高雄市美濃区中興路一段147号
美濃へ旅行に訪れたら「客家粄條(米でできた太麺)」は必ず食べましょう。ランチのおすすめは「阿秋肉圓粄條店」です。ここはインターネットやグルメガイドにはあまり紹介されておらず、店の場所も粄條店が林立する場所にはありません。目立たない店ですが、食事の時間になると地元の人や行楽客があちらこちらから訪れます。その美味しさが口コミで広まり、休日には座席がない状態になっています。ここで販売している客家料理の種類はバラエティに富み、看板料理の「乾粄條(汁なし太麺)」と「湯粄條(汁あり太麺)」は必食です。「薑絲炒大腸(生姜とホルモンの炒め)」や野蓮の炒め、粉腸(ホルモン)、「客家小炒(スルメイカや豚肉、干し豆腐の炒め)」なども人気です。また、外側はサクサク、内側は軟らかい食感の生地に肉の塊がぎっしりと詰まった肉圓も愛されています。さらに豚の血の塊が入ったスープや豚の胃袋が入ったスープも量が多い上に美味で、おすすめのグルメです。
- 住所|高雄市美濃区中正路二段590号
美濃の永安路は早くから発展してきたエリアで、またの名を「永安老街」と言います。かつては美濃警察派出所がここにありました。1933年(昭和8年)に創建されたレンガと木の両方を用いた建築で、クラシカルな美しさをもつバロック風ルの歴史建築となっています。洗石子(テラゾー)の円柱や外壁、黒瓦の屋根、八角形の窓、13の溝が入ったタイルなどが建物の特色です。リニューアルされた後、日本の昭和時代の雰囲気をそのまま残す建物となりました。内部の間取りは昔と変わらず、木製の家具やテーブル、椅子があり、より日本らしくなっています。適当に場所を選んで撮影しても必ずや美しい写真を撮ることができます。美濃へ旅行に訪れた際におすすめの撮影スポットです。
メインの建築が見ごたえあるだけでなく、園区広場の景観も優美です。広々としたエリア内には砲台、防空壕、防空警報の時計台、門柱、警察宿舎が残されています。さらに樹齢が少なくとも110年以上あると言われるアカギの老樹もあります。ここは美濃の人たちの共通の記憶であり、美濃の発展の歴史を見守ってきました。2015年にはこれら警察派出所の建物は正式に「美濃文創センター」として活用されることになりました。数年の時を経て、財団法人薛伯輝基金会が委託経営を継ぎ、館内には「搖籃珈琲」が入るようになりました。飲食、文学、文化創造芸術を結び付け、コーヒーと本の香りが満ちた読書空間となっています。心地良い空間なのでぜひ訪れてみてください。
永安老街と中正路の交差点まで来ると、築80年以上の日本統治時代の歴史建築がはっきりと見てきます。ここの前身は美濃警察派出所でした。
老家屋をリノベーションするのに成功した「美濃文創センター」はコーヒーの香りに満ちています。この旧美濃警察派出所は昭和のスタイルが残っていますが、コーヒーと飲食が結びつき、異彩を放っています。現在、館内にある「搖籃珈琲x恵如小屋」は財団法人薛伯輝基金会美濃分処が経営しています。老家屋のレトロな風情が濃厚に感じられる一方、文化的な雰囲気もあり、非常に心地良い空間となっています。ここでは不定期で各種芸術文化に関する展覧やテーマ別の講座、特色ある体験イベントなどを催しています。室内には著名な芸術家が創作したクリエイティブグッズや貴重な絵画などが展示されており、参観、観賞できます。棚には様々な種類の書籍が置かれています。一冊選んで、ここでコーヒーやデザートを頼めば、芸術文学を楽しめます。旅の途中で幸せな時間を過ごすことができます。
読書も「搖籃珈琲」の経営の主軸の一つであり、店内には書籍が豊富に揃っています。訪れた人はゆっくりと閲覧することができ、地元の客家集落の発展について学べるスポットになっています。
「高雄市立図書館美濃分館」は美濃学園教育芸文館でもあり、館内には豊富な蔵書があり、その多くは客家文化に関連するものです。新しく開設された読書に適した優れた空間となっています。
- 住所|高雄市美濃区永安路212号
築90年の歴史的な建造物である「美濃旧橋」は美濃で唯一のランドマーク級の橋梁として保存されています。1930年(昭和5年)に建造され、当時美濃の政治・経済の中心地から南北地域へ往来するための重要な道路でした。当時、この橋により交通が便利になりました。この橋は美濃渓を渡り、正面には昔の美濃警察派出所があり、もう一方には美濃の伝統的な市場があります。老朽化が進んでいる旧橋の上をゆっくりと歩きながら、歳月を経て残された跡をじっくりと眺めてみましょう。鉄筋コンクリートの建築構造を採用しているため、今でも良好な状態です。古びた見た目ですが、頑丈な作りで、ほとんど損傷がありません。橋の両側の入口には「保橋護童碑」が設置され、大型車両は進入することができません。歩行者と子供の安全が確保されています。これにより、老橋の寿命が延び、農村の歴史的なエリアの発展を見守り続けてきました。
- 住所|高雄市美濃区永安路213号
最初は自宅のベーカリー工房から始まり、徐々に名声を得て、後に現在の場所に移転しました。雰囲気のある建物で、以前より広くなっています。この2階建ての古い建物は日本統治時代に建てられ、建物自体の歴史は70年以上におよびます。かつては保寿堂診療所でしたが、ベーカリーに改装され、独自の新しいスタイルが築かれています。美濃の文化的な特色が焼き立てのパンの香りとともに優雅に放たれ、瞬時に人々の心に深く根づいています。
「美濃啖糕堂」は永安路の老街に位置し、高雄市客家委員会の「人才留美(美濃)培力計畫(アメリカ留学で人材を育ている計画)」の一環として、最初に開かれた文化クリエイティブショップです。創設者の夫妻は長年にわたるベーキング経験と専門的な技術を持ち、パン、トースト、クッキー、ケーキなどの商品を販売しています。ほとんどの商品は地元の農産物や食材を使用しており、例えばオレンジの蜜の香りがするトマト入りトースト、水蓮チーズトースト、美濃147米トースト、味噌水蓮クッキー、美濃キヌア入りバラ風味のビスケットなどがあります。種類はバラエティに富み、お客様は西洋式のパンや洋菓子を通じて地元の特色と風味を感じています。水蓮パンや水蓮トースト、水蓮クッキーなどのためにわざわざ訪れる人が多いのも頷けます。なぜなら水蓮は高雄美濃地域の主要な特産品であり、さっぱりとした風味とサクサクとした食感で、これを組み合わせているので美味しいと評判です。
- 住所|高雄市美濃区永安路197号(美濃小学校小さな入り口の向かい)
廃棄されて長年経つ高雄美濃の「第一戲院」に近づくと、1960年代や70年代にタイムトリップしたかのような気持ちになります。メイン建築の外観は完全に残っていますが、セメントの外壁や鉄の手すり、切符売り場、手書きの看板などは50年以上の歳月を経て風化し、鉄の扉は閉ざされ、内部に入ることはできません。訪れる人たちは外からかつての映画館の在りし日の様子を思い出すことしかできません。この劇場はかつての美濃の人々にとっては観光や娯楽にとってベストな場所でした。映画だけでなく、布袋戯(人形劇)や歌仔戯(台湾オペラ)も上映されていました。ある春節の連休に故郷に戻ってきた兄はここを通り過ぎる際にこうシンプルに言いました。「第一戲院は私たちの町の最初の映画館で、子供の頃に両親が私をここに連れてきてくれました。その頃はとても賑やかで、いつも長蛇の列ができていたのを覚えています」と。
第一戲院は現在、美濃の観光地の中でもあまり知られておらず、馴染みが薄い観光スポットです。しかし、美濃の地元住民の中でも高齢者にとっては消し去ることのできない貴重な記憶と地元への思いが込められています。かつて賑わっていた古い映画館が今でも残っているのは非常に特別な意義や価値があります。その独特な風情をじっくりと味わいましょう。
- 住所|高雄市美濃区中正路一段127巷5号
美濃の地元で有名な史跡として知られる「瀰濃東門樓」は高さ約10メートルで、かつての建物は1756年(清乾隆二十年)まで遡ります。言い伝えによれば、当時、瀰濃庄の住民が東の柵門を改築して作ったもので、盗賊や匪賊などの外敵から攻撃を防ぐために建てられたとのことです。東門樓はかつて日本統治時代に砲火され、破壊されましたが、修復と再建を経て、現在見られるような姿に復元されました。この建物自体が古代の城門のような雄大な建築で、鉄筋コンクリート構造となっています。基礎構造は厚くて堅固な作りで、一階の通路口は正方形のアーチ型となっています。日本統治時末期に修復された警報の鐘楼は取り壊され、現在は見られません。清国時代の龍簷鳳閣のような屋根の外観は円柱上の対聯(対句)や扁額、題字などがあり、見応えがあります。長い歴史を経て、趣きのあるものとなっています。
門樓の横に沿って急な階段を上る際には安全にご注意ください。2階の平らな場所に足を踏み入れると、四方が開けた展望デッキがあります。この高い位置から開けた景色を眺めると、爽快な気持ちになります。素朴で平和な雰囲気に満ちた客家集落を眼下に収められます。永安路の古い街並みや平面道路を見下ろすと視界が全く異なってきます。ぜひ一度上に上って眺めてみましょう。
客家集落ではなかなか見られない二階建ての史蹟である門樓。元々の建物は200年以上前に遡り、日本統治時代には損傷を受けましたが、現在は伝統的な城樓の姿を模倣して修復されています。良好な状態が保たれています。
- 住所|高雄市美濃区民族路16巷9号入り口
東門樓を過ぎて道を進んでいくと、「美濃庄頭伯公」が見えてきます。特に伯公壇の後方にある樹齢百年のガジュマルは目立つ存在で、樹蔭の中にある東屋や周囲の広場は近隣の住民が食後や余暇の時間に慣れ親しんでいる場所です。くつろいでおしゃべりするのに適しています。美濃の客家の人々が「伯公」と呼ぶものは、皆さんがご存知の土地公のことであり、福徳正神のことです。美濃庄頭伯公壇は地域における重要な信仰の中心であり、長い歴史をもち、外観は伝統的な閩南式建築の土地公廟とは異なります。石やスレート板を積み上げて建てたもので、美濃客家の典型的な露天の祭壇となっています。ここには神像はなく、代わりに「福徳正神香座位」と刻まれた石碑が立てられており、この場所で祀られています。農業がメインの素朴な客家集落である美濃には少なくとも300~400体ほどの大小様々な伯公壇があり、密集しています。中でも「美濃庄頭伯公」は代表的なものとして広く知られた伯公壇であり、この土地を長年守り続けています。
- 住所|高雄市美濃区民族路16巷9号
美濃湖へ続く道路沿いには賑やかなアイス店があります。ここは地元でも有名な老舗「東門冰菓室」です。50年以上の歴史をもち、数多くのインターネット記事やテレビの食べ物に関する番組でも特集されています。また、現地での人気も非常に高く、ここで販売されているアイスは多くの人に好まれていることは確かです。昔ながらのバナナシャーベット(清冰)は口当たりが柔らかく、サラッとした食感で、口に含むとすぐに溶けていきます。このほか、適度なバナナオイルが清涼感と甘さをプラスしています。想像より甘くなく、すっきりとした味わいです。バナナシャーベットをベースに、チョコレート味やフルーツ味、あずき味、緑豆味、プラム味、レモン味、卵牛乳味、プリン入りなど、豊富な味が開発されています。価格は主に30〜40元が中心で、緑豆入りの甘いスープや冬瓜茶、紅茶、アイス、豆花なども販売されており、選択肢が多様です。これらは多くの観光客が夏の暑さを和らげるために提供しており、暑い日には懐かしい味わいのアイスを楽しむのに最適です。
- 住所|高雄市美濃区民族路20号
美濃は「粄條(米が原料の太麺)」で知られているだけでなく、もう一つ人気が高いコイン価格のグルメがあります。インターネットで美濃黒輪(おでん)というキーワードを検索すると、「美濃聖君宮関東煮」に関するたくさんの情報と紹介が出てきます。鉄でできた小屋は美濃聖君宮のそばに位置し、隠れたグルメスポットとなっています。60歳以上の店主は阿信おじさんと呼ばれ、ここの店名は「美濃聖君宮阿信黒輪」と呼ばれています。おでんを売り始めてすでに40年以上になり、近くの小学校や中学校の生徒たちは放課後にここで大きなボウルにいっぱい入れた関東煮を食べ、熱いスープを数杯飲んで、空腹を満たすことが少なくありません。美濃の住民にとってアフタヌーンティーに訪れるのにベストなスポットとなっています。ここでは故郷を離れて外地で働く人たちが思い出の味を懐かしんでいます。オーナーは親切で、コイン価格で関東煮を提供し続け、長年にわたり薄利多売を貫いています。今回の食事では7つの団子、ニンジン、大根、そしておでんを合わせても総額40元にもなりませんでした。ボウルいっぱいに入っているにも関わらず、思ったよりも遥かに安い価格となっています。伝統的で素朴な味わいのおでんにスープを足しながら寺廟の前でじっくりと味わいましょう。美濃の人々は子供時代の味の記憶を体感することができます。
- 住所|高雄市美濃区永安路19巷内(美濃聖君宮そば)
美濃で客家の素朴な風情と美しい自然景観を一目見たいと思ったら「美濃湖」が真っ先に思い浮かびます。このレジャースポットは美濃エリア最大の湖であり、高雄市では澄清湖に次ぐ二番目に大きな人工貯水湖です。過去から現在まで様々な呼称を擁しており、中圳埤、中圳湖、瀰濃湖、さらに蔣中正元総統が美濃を訪れたことから「中正湖」と改名されたことがあります。先祖たちは灌漑用水を貯めるために用水路を引いて、この湖を築きました。湖の中には「中正亭」と呼ばれる東屋があり、湖畔に近づくと目の前には山と湖が広がり、緑樹と草地が中華式東屋にぴったりと合っています。これらは緑の農地を包囲しており、青空と白い雲の下に広がる風景は何にも代えがたい美しさとなっています。同時に美濃の客家の山里では自然で純朴な風景を楽しむことができます。
湖畔の散策歩道に沿って進むと、湖を眺めるための展望台や湖を跨ぐ橋、アート作品、ベンチ、公共トイレなどがあります。また、景観美化によりリノベーションされた結果、貴重な湿地生態と環境資源が保護され、毎年多くの渡り鳥が営巣しています。台湾南部の野鳥愛好家や写真愛好家にとっては一生に一度訪れるべき聖地となっています。「美濃湖」には自転車でのんびり回るための湖一周道路が整備されています。ビジターセンターで自転車を借り、湖畔の周りをのんびりと走ることをおすすめします。客家の農村の田園風景に近づくと、目も心も楽しめます。
- 住所|高雄市美濃区民権路と泰安路の区間