

集落を二百年以上にわたって守り続けてきた西隘門(別名・褒忠門)は、1811年に建てられた、かつての四大隘門の中で唯一、当時の姿を完全にとどめる県定古跡です。外敵から村を守るため、客家の先人たちが築いた重要な軍事施設でもあります。
赤レンガと木材で造られた建築には、端正に立ち上がる「燕尾脊」が残り、門額に掲げられた御賜「褒忠」の扁額は、郷土を守った客家の忠義と誇りを象徴しています。両脇に設けられた円形の「銃眼」と、その下に配された蝙蝠の泥塑は、防衛機能と「福を授かる」という吉祥意匠を巧みに融合させたものです。門額の裏側に隠された秘密の中二階や、門柱に刻まれた対聯(門の両脇などに記した対句)「褒雍粵城、忠著閩邦」は、屏東平原を切り拓いてきた初期の客家移民の歴史を生き生きと伝えています。
すでに戦火の煙は消え去りましたが、西隘門はいまも冬根路に静かに佇み、佳冬の客家集落に息づく、ありのままの日常を変わらず見守り続けています。
